往復動(レシプロ式)圧縮機とは、ピストンとシリンダーを用いて圧縮を行う圧縮機です。構造がシンプルで、メンテナンスが容易なため、幅広い用途に使用されています。本記事では、往復動圧縮機の構造や原理、種類について解説します。
往復動(レシプロ式)圧縮機とは
往復動圧縮機は、ピストンとシリンダーを用いて圧縮を行う圧縮機です。ピストンがシリンダー内を往復運動することで、気体や液体を圧縮します。往復動圧縮機は、構造がシンプルで、メンテナンスが容易なため、幅広い用途に使用されています。
構造
シリンダー: ピストンが往復運動する空間です。シリンダー内壁は精密に加工されており、ピストンとの
気密性を保つ役割を果たします。また、シリンダーには冷却機構が備えられている場合が
多く、圧縮によって上昇する温度を抑制し、効率の低下を防ぎます。シリンダーの
材質は、使用する流体や圧力に応じて、鋳鉄、鋼、ステンレス鋼などが選択されます。
ピストン: シリンダー内で往復運動する部品です。ピストンには、シリンダーとの気密性を保つための
ピストンリングが装着されています。ピストンの材質は、軽量かつ高強度なアルミニウム
合金などが用いられることが多いです。
クランクシャフト: ピストンを往復運動させるための部品です。クランクシャフトは、回転運動を直線
運動に変換する役割を果たします。クランクシャフトの形状や材質は、圧縮機の
性能に大きく影響します。特に、クランクシャフトのバランスは、振動の抑制に
重要な要素となります。 コネクティングロッド: ピストンとクランクシャフトを
連結する部品です。コネクティングロッドは、ピストンの直線運動をクランク
シャフトの回転運動に変換する役割を果たします。コネクティングロッドの
材質は、高強度な鋼などが用いられます。
バルブ: 吸気と排気を制御する部品です。バルブには、吸気バルブと排気バルブの2種類があります。
バルブの開閉タイミングは、圧縮効率に大きく影響します。バルブの形式には、ポペット
バルブ、プレートバルブ、リングバルブなどがあります。
圧縮機の動作
往復動圧縮機の原理は、以下の通りです。
- 吸気行程: ピストンがシリンダー内を下がると、シリンダー内の圧力が低下し、吸気バルブが
開きます。外部から空気がシリンダー内に吸い込まれます。この時、吸気バルブの開閉
タイミングや吸気経路の抵抗などが、吸入効率に影響します。 - 圧縮行程: ピストンがシリンダー内を上がると、吸気バルブが閉じ、シリンダー内の空気が
圧縮されます。この時、断熱圧縮に近い状態となります。圧縮が進むにつれて、温度が
上昇します。 - 排気行程: ピストンがさらに上昇すると、排気バルブが開き、圧縮された空気がシリンダーから
排出されます。この時、排気バルブの開閉タイミングや排気経路の抵抗などが
排出効率に影響します。 - 膨張行程: ピストンが再び下がると、排気バルブが閉じ、シリンダー内に残った高圧の空気が
膨張します。この行程は、効率に影響を与える要素となります。
往復動圧縮機の種類
往復動圧縮機は、構造や圧縮方式によって様々な種類に分類されます。
- 単動式と複動式: 単動式はピストンの片面のみで圧縮を行う方式、複動式は両面で圧縮を行う
方式です。複動式は、同じシリンダーサイズでより多くの空気を圧縮できます。 - 一段圧縮と多段圧縮: 一段圧縮は1つのシリンダーで圧縮を行う方式、多段圧縮は複数の
シリンダーで段階的に圧縮を行う方式です。多段圧縮は、高圧の空気を効率的に生成できます。 - 潤滑式と無給油式: 潤滑式はシリンダー内を潤滑油で潤滑する方式、無給油式は潤滑油を
使用しない方式です。無給油式は、クリーンな空気を必要とする用途に適しています。
まとめ
往復動圧縮機は、構造がシンプルで、メンテナンスが容易なため、幅広い用途に使用されています。この記事が参考になれば嬉しいです。
ご安全に!
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