PR
スポンサーリンク
スポンサーリンク

【燃焼】アンモニア接触還元による排煙脱硝について詳しく解説

スポンサーリンク
スポンサーリンク
ボイラー
スポンサーリンク

 本記事では、このようなNOxを効果的に除去する技術の一つである「アンモニア接触還元法」について、初心者からベテラン技術者までを対象に、概要から具体的なシステム構成、脱硝触媒、そして硫酸水素アンモニウムの析出といった問題まで、幅広く解説していきます。

スポンサーリンク
スポンサーリンク

概要

 アンモニア接触還元法(Selective Catalytic Reduction, SCR)は、排ガス中のNOxをアンモニア(NH₃)と反応させ、無害な窒素(N₂)と水(H₂O)に分解する技術です。この反応を促進するために、触媒が用いられます。

反応式
4NO + 4NH₃ + O₂ → 4N₂ + 6H₂O

 このシステムの特徴として、以下のものが挙げられます。

  • 触媒の存在下で排ガス中にNH3を注入するだけの簡単なプロセスであり、かつ80~90%以上の脱硝率が得られる
  • 脱硝反応後に生ずるものは窒素と水蒸気であり、二次公害となるような副生物や廃液は発生しない
  • 運転操作が簡単で、メンテナンスも容易
  • 負荷変動時、NH3の添加量を自動的に制御することにより、良好な追従性が発揮できる

 プロセス全体のフローを以下に示します。ボイラを出た排ガスは、①脱硝装置でNOxを分解、②空気予熱器で燃焼用空気と熱交換、③電気集じん装置でばいじんを捕集除去、④脱硫装置でSOxを除去して、煙突から排出しています。

https://www.energia.co.jp/eneso/kankoubutsu/review/no33/pdf/33_p23.pdf

脱硝触媒

 脱硝触媒は、NOxとアンモニアの反応を促進する重要な役割を果たします。また、本プロセスで使用される触媒は硫黄酸化物(SOx)やダストに被毒されにくく、ダストの付着やそれによる摩耗が少なくて耐熱性があり、かつ高活性であることが要求されます。一般に、触媒の担体としては酸化アルミニウム(アルミナ Al2O3)、酸化チタン(チタニア TiO2)などが、活性金属としてはPt、V2O5、Fe2O3、CuO、Mn2O3、Cr2O3、MoO3、CoOなどが知られています。

 酸化アルミニウムを担体とするものは、SOxと反応して硫酸アルミニウムを生成し活性が低下します。そのため、この防止策として硫酸塩化されにくい酸化チタンを担体とする触媒が開発されました。

 SOx存在下における種々の活性金属について活性を調査した結果、酸化バナジウム(V2O5)が最も高活性であることがわかっています。白金系触媒は活性が高く、比較的低い温度でも高い脱硝率を得られますが、SOxなどによる被毒に弱く、かつ高価なため実際には使用されていません。

 以上より、チタニア(アナターゼ型)を担体に、酸化バナジウムを活性金属とする脱硝触媒が主流になっています。

https://power.mhi.com/jp/products/aqcs/lineup/flue-gas-denitration

反応の原理

 脱硝反応時、触媒表面では次の4つの過程を繰り返すことにより脱硝反応が起こると考えられています(下図)。

①反応物質の触媒表面への拡散、吸着(活性点への NH,の吸着)
②反応物質の触媒表面上での反応(吸着NH3とNOとの反応)
③生成物質の触媒表面上からの離脱(生成N2とH2Oの離脱)
④触媒活性点の再生(O2による活性点の再生)

    https://www.jstage.jst.go.jp/article/safety/27/6/27_367/_pdf/-char/en

    問題点

     脱硝触媒では、副反応として各種の酸化反応が脱硝反応と同時に進行します。酸化活性の強い酸化バナジウムにより二酸化硫黄(SO2)が三酸化硫黄(SO3)に酸化され、約250℃以下で未反応NH3(リークアンモニア)と反応して硫酸水素アンモニウムを生成し析出します。反応式は以下となります。
    SO₂ + NH₃ + H₂O → (NH₄)HSO₄
    これが熱交換器に付着・堆積して腐食を引き起こすだけでなく、通風抵抗を増加・閉塞させるのでスートブローや水洗による除去も必要になります。触媒表面への硫酸水素アンモニウムの析出は、300℃程度で反応させることにより可能ですが、酸化バナジウムの担持量を少なくし、酸化モリブデンや酸化タングステンなどを添加して触媒によってSO2の酸化反応を抑制し脱硝性能を維持することができます。

    コメント

    タイトルとURLをコピーしました