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【腐食】バナジウムアタックってどんな現象?

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腐食
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 この記事では、溶融塩腐食の代表例として挙げられる、バナジウムアタック(バナジウム腐食)について解説します。

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バナジウムアタックとは

 バナジウム含有量の多い重油を燃料に使用すると、燃焼ガスに接する金属管の表面に融点が低いV2O5(融点690℃)や、これがガス中に共存するNa分やSOxと結合してできるV2O5-Na2SO4系の化合物(融点は低いもので約500℃)が付着し、酸化物被膜中に入ります。金属管の表面温度がこれらの融点以上になって溶融すると、溶融物はフラックスとして働き、酸化物被膜を剥離させたり保護性を低下させます。この結果酸化が激しくなり、これをバナジウムアタック(バナジウム腐食)とよびます。

日本油化工業株式会社HPより、筆者作成

対策

 燃料にMgOやCaOを加えて燃焼時にバナジウムと融点が高い化合物を作らせる方法があります。

 Mg系添加剤としては,Mg(OH)2の微細粒子(数μm~数10μm)を水スラリーやオイルスラリーにした無機系のものと、Mgスルホネートに代表される有機系のものが市販されています。無機,有機マグネシウムとも炉内でMgOとなります。このMgOはV、Naを主成分とする腐食性の低融点物質を腐食性のない高融点の物質へと改質します。この高融点の物質は嵩のある粉状で高温部(過熱器,再熱器)への付着が少なく、その結果、灰分によるSO2→SO3の酸化触媒作用も抑制され、硫酸による低温腐食が減少します。

 無機マグネシウム系添加剤は微細粒子ですが、重油中のV/Na化合物と反応するのはその粒子表面だけで添加効率が良くないため添加量が多くなり、また微細粒子がバーナーチップや噴射ポンプの摩耗を起したり、配管系統内で沈積するなどの問題を生じる可能性があるため、その取り扱いには十分な注意が必要です。有機マグネシウム系は油溶性で,重油中では1分子ごとに完全に溶解した状態であるので,上述の無機マグネシウムに見られる問題はありません。

 材質的にはあまり満足なものはなく、50%Cr-50%Ni合金や、炭素鋼の表面からクロムを拡散浸透させたクロマイズド鋼は良好ですが高価です。

最後に

 重油を燃料として使用した際に起きる高温腐食の代表例である、バナジウムアタックについて紹介しました。対策として、重油の添加剤があることも併せて覚えておきたいですね。

 ご安全に!

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