こんにちは。新入社員研修の時に教員役の方が砂糖を使って粉塵爆発の実験をしてくれて衝撃を受けました。昔の炭鉱ではよくあった事故だと知ってはいましたが、実際に現象を間近で見ると恐ろしいです。一度小さな爆発が起きると、それに誘発されて小さな爆発が連続して起きます。プラントスケールで起きたらと思うとゾッとした覚えがあります。
事例紹介
タイトルの質問に答えますが、砂糖だろうがプラスチックだろうが薬品だろうが爆発の可能性があります!粉塵爆発は可燃物の粉塵あるいは微粉末が密閉空間の空気中に一定濃度で浮遊した状態で着火源により引火し、燃焼が伝播していくことで爆発を起こす現象を粉塵爆発といいます。
紹介する事故は2008年米国の製糖工場で梱包前の砂糖を空気輸送していた際に発生しました。この事故では30名以上が負傷し、13名が亡くなられました。
直接要因は、密閉空間に砂糖の粉塵が浮遊していたこと、その場所に着火源があったことの2点。間接要因は、プロセス機器、倉庫や建屋などの床や置物の表面に粉黛が層をなしている(清掃が不十分)、粉体の輸送や充てんなど作業により粉塵が形成されたことの2点
粉塵爆発の発生条件5つ
1つめは可燃性の粉塵。粒径が重要で、小さいほど分散しやすく火が付きやすいです。
2つめは酸化剤。通常は空気中の酸素が該当します。空気中の酸素は粉塵爆発を引き起こすのに十分な量です。
3つめは粉塵が浮遊していること。通常、プロセス機器内の空気中に分散しています。建物内では、粉塵の分散は大量の漏れや放出、作業者による外乱によって起こります。
4つめは着火源。裸火や静電気が多いですね。
5つめは密閉空間。建物の壁や天井、床や屋根などは容易に密閉空間をつくり出します。また、プラントの装置も密閉空間をつくり出します。
対策2パターン
1つは3S。粉体を取り扱う装置周辺や倉庫内等密閉空間になりそうなところは特に心がける必要がありますね。カーボンなんかは粉体の層を放置していたら熱を帯びて発煙したなんてたまに聞きますし。
2つめは爆発範囲を小さくすること。可燃性ガスに燃焼・爆発の上下限があるように、粉塵爆発にも爆発上下限濃度があります。そのため窒素などの不活性ガスを導入することで爆発範囲を狭めることができます。
対策とは違いますが、取り扱う粉体をサンプリングして検査機関に爆発特性の調査を依頼するのも有効です。爆発上下限濃度や最小着火エネルギーの測定をしてもらうと対策を考えるのに役立ちます。
最後に
今回は粉塵爆発を取り扱いました。そのうち静電気にもチャレンジしようかと思います。ボリュームが大きいので苦労しそうですが・・・
ちょこちょここういった事例紹介していきたいと思います。自分の復習にも良いので。下に今回参考にしたもの貼っときます。
http://sce-net.jp/main/wp-content/uploads/2016/03/2006-05-Beacon-Japanese.pdf
http://sce-net.jp/main/wp-content/uploads/2016/03/2008-05-Beacon-Japanese.pdf
それではご安全に!
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