省エネかつ低NOx対策に有効なバーナーの例に挙がる、リジェネレイティブバーナーについて紹介します。
概要
リジェネレイティブバーナーは、蓄熱体と一体化した2基のバーナーを一対として、一方のバーナーの燃焼時は、その排気を他方のバーナーの蓄熱体を通過させ、蓄熱体を加熱することで排気の持つエネルギーを回収。次にそのバーナが燃焼するときには、燃焼用空気を先ほど加熱した蓄熱体を通過させることで予熱し、従来であれば捨てていた排気のエネルギーを回収することで高い燃焼効率を実現します。この蓄熱効果による熱交換効率向上で、省エネルギー化を図っています。また、低NOx(窒素酸化物)燃焼を行うために燃料と空気を別々のノズルより高温炉内に直接噴霧することで燃焼速度を著しく遅らせ、NOxの発生も大幅に抑制しています。
CO2発生量低下
先述にあるように、この燃焼システムでは燃焼空気の温度が上昇するため、炉内温度を制御するための燃料使用量が大幅に削減可能です。(火炎温度を簡易的にでも自分で計算すると理解できるのですが、燃焼によって発生する熱量のうちかなりの量が空気の温度を上げるのに使われてしまいます。)
燃料使用量が大幅に削減されるのにともない、CO2排出量も大幅に削減できます。油焚バーナから天然ガスへの燃料転換では、単位発熱量あたりのCO2排出量が少ないため、より一層のCO2削減が達成できます。
なぜNOxの発生を抑制できるのか
自分は勉強していてこれが理解できませんでした。一般的に、燃焼空気温度の温度が上がると、燃焼時に系内の温度が上がるためNOxの発生はむしろ増えるのでは?と考えていましたが、調べたらなんとか理解できました。
炉内が1,000℃以上で、燃料を高速で吹き込むと火炎は燃料ノズルから浮き上がり従来の形を失い、大きな燃焼領域という形で燃焼反応を起こします。これは「熱分散型火炎」と言うことができます。この熱分散型火炎は広範囲で比較的穏やかに燃焼が進み、炉内の温度分布が均一になります。
リジェネバーナーを用いると、炉内の燃焼ガスが高速で循環混合された結果生ずる高温低酸素空気領域(下の図を参照)を用いて、容易に熱分散火炎が形成され、炉内の温度に極端なムラがなくなり、炉内の最高温度が結果的には低くなるため、NOxが下がります。
NOxの発生を抑制する一般的な方法として、排ガスを燃焼空気に混ぜて酸素濃度を低下させる、というものがありますが、これと熱分散火炎を組み合わせることで低NOxバーナーとして機能している、というイメージでしょうか。
最後に
燃焼空気の温度を上げてるのに何で低NOxなのかなーと疑問に思って調べてみましたが、これを通じて燃焼という現象について知見が広がりました。参考になれば幸いです。
ご安全に!
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