腐食、といっても細かく分類するとかなりの数になりますので、まとめた図を作りました。今回紹介するのは、図中の高温ガス腐食と、溶融塩腐食の2つになります。
高温腐食とは?
高温腐食は、高温ガス腐食と溶融塩腐食に大別されます。高温環境下で起こる腐食のため、身近な環境で起こることはなく、工業施設などのプラントで発生します。例えば廃棄物焼却プラントである、ごみ焼却設備における排熱ボイラの管壁温度と腐食による侵食度は、図1のように、150℃以下では露点腐食のみ、300~700℃では、溶融塩腐食+ガス腐食となり、塩化物を含む低融点の溶融塩とHClガス等が共存することにより侵食度が大きくなります。また、700℃以上になると、溶融塩が分解することにより存在しなくなり、ガス腐食のみになります。このように温度領域に応じて高温腐食の様相および度合が異なるので注意が必要です。
高温ガス腐食
高温のガス環境で、金属が環境と反応することで起こる損傷が高温ガス腐食です。主なものには硫化腐食、浸炭酸化、窒化、高温ハロゲン腐食などがあります。
溶融塩腐食
重油や石炭を燃料とするボイラーやごみ焼却炉では、排気経路内側に燃焼灰が堆積します。燃焼灰のうち低融点のものが高音部で溶解すると溶融塩になります。この溶融塩が保護被膜として作用していた酸化スケールを剥離したり、保護性を低下させたりします。さらに、溶融塩は内部をイオンが自由に移動できる電解質として作用するため、酸素や塩素などの酸化剤が存在すると、電気化学反応による溶融塩腐食が発生します。代表的な溶融塩腐食には、バナジウム腐食や、アルカリ硫酸塩腐食が挙げられます。
最後に
この記事では高温腐食の概要についてのみ紹介しました。他の記事で、それぞれもう少し踏み込んだ解説する予定です。
低温腐食に関する記事も作成しましたので、こちらも読んでもらえたら嬉しいです。
ご安全に!
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