火力発電所や工場などから排出される排ガスには、窒素酸化物(NOx)と呼ばれる大気汚染物質が含まれています。このNOxは、酸性雨やスモッグの原因となるだけでなく、人体にも悪影響を及ぼすことが知られています。排煙脱硝とは、このNOxを排ガスから除去する技術を言います。
NOxの発生を抑制する手法については以下の記事で紹介していますので、併せて見ていただけると、より体系的にNOxに関して知識を得ることができます。
今回は、脱硝技術として代表的な方法である以下の4つの方法について、簡単に解説していきます。
アンモニア接触還元法
アンモニア接触還元法の原理は、排ガス中にアンモニア(NH3)を注入し、触媒により排ガス中の窒素酸化物(一酸化窒素(NO)、二酸化窒素(NO2))を窒素と水蒸気とに250~450℃で還元するものであり、反応式は以下となります。
4NO + 4NH3 + O2 → 4N2 + 6H2O
現在、アンモニア接触還元法は発電ボイラーをはじめ、産業用ボイラー、ディーゼル機関、ガスタービン、ごみ焼却炉等に広く採用され、現在の脱硝装置の主流となっています。
無触媒還元法
高温の排ガスにNH3を添加し、触媒を用いないでNOを選択的に還元する方法です。900℃から藩王が急激に進み、約1000℃で最大の脱硝率を得ることができます。NH3の添加量が多いほど脱硝率が高くなりますが、酸素濃度が高くなると脱硝率は若干低下します。また、NH3に加えて水素を添加した場合、反応温度を200~300℃低下させることができます。
還元剤として、NH3ではなく尿素(CO(NH2)2)を用いる方法も実用化されています。その反応は以下となります。
CO(NH2)2 + 2NO + 1/2O2 → 2N2 + 2H2O + CO2
微粒化した尿素水溶液を燃焼炉内に噴霧して、排ガス中のNOxを還元します。他の方式に比べてイニシャルコスト、ランニングコストともに安価であり、尿素水溶液の取り扱いも容易という特徴があります。
活性炭法
活性炭法とは、活性炭(又は活性コークス)により排ガス中のSOxを吸着し、NOxは活性炭の触媒作用によりNH3で窒素に還元する同時脱硫・脱硝技術です。排ガス中のSOxは容易に吸着され、硫酸あるいは硫酸アンモニウムで補足されます。しかし。活性炭の吸着能力には限界があるため、活性炭は移動層とし、再生系で再生を行いながら循環して使用します。
酸化還元法
酸化還元法とは、NOxをオゾン又は二酸化塩素で酸化し、亜硫酸ナトリウム溶液に吸収させる方法です。比較的小型のボイラーや加熱炉に採用されていますが、酸化剤として利用されるオゾンや二酸化塩素にコストがかかるため大型装置への適用は難しく、あまり一般的な方法ではありません。
最後に
この記事では、脱硝技術の種類、それぞれの概要について解説しました。本記事が参考になれば幸いです。
ご安全に!
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