今回は水管ボイラーについて紹介します。水管ボイラーの中にも3種類あり、これはボイラー水の流動方式により分別されます。それらについても少し詳細に解説します。水管ボイラーと丸ボイラーの比較は資格試験で頻出ですので確実に押さえましょう!
水管ボイラーの概要
水管ボイラーは、一般的に比較的小径のドラムと多数の水管とで構成され、水管内で蒸発を行わせるようにできています。高圧に適し、大容量のものも製作可能です。
水管ボイラーでは、細い水管が熱を受け、その内部で多量の蒸気を発生させることになるため、内部に蒸気が滞留したり、蒸気だけになったりすると管が過熱されるため焼損をきたします。そのため、ボイラー水を確実に供給し、水管内面が常に水に接し、十分な熱伝達が行われるようにしなくてはなりません。以下に、特徴をまとめます。
- ・高圧、大容量にも適している
- ・燃焼室を自由な大きさに作れるため、燃焼状態が良く、また、種々の燃料及び燃焼方式に適応できる
- ・伝熱面積を大きくとれるので、熱効率が高い
- ・伝熱面積当たりの保有水量が少ないため、起動から所要蒸気を発生するまでの時間が短い
- ・負荷変動により圧力や水位が変動しやすく、敏感な調整が必要
- ・給水及びボイラー水処理に注意が必要
自然循環式ボイラー
2つのドラム(水が入る容器)を持つボイラーで、上部に汽水ドラム、下部に水ドラムがあり、両者は複数の水管でつながっており、これによりボイラー水の循環経路を構成しています。水管を加熱することで生まれた蒸気が、汽水ドラム上部から蒸気使用先へと送られます。汽水ドラム内で熱を失った低温の水は、高温の水よりも比重が大きいため、自然と水管を通って下に落ちていきます。蒸発管に到達し、再びバーナーで加熱されると上の方に浮き上がっていきます。
強制循環式ボイラー
自然循環ボイラーと似た構造で、汽水ドラム、水ドラムがありますが加えて、汽水ドラムと蒸発管をつなぐ場所に循環ポンプが設置されています。なぜポンプが必要になるか?水は高温高圧になると蒸気との密度差が小さくなり、自然循環方式ではうまく循環しなくなるという問題を解消するためです。そのためポンプで強制的に循環させる方式が取られるようになりました。
貫流ボイラー
還流ボイラーは、長い管系で構成され、給水ポンプによって管系の一端から押し込まれた水が、余熱部、蒸発部、過熱部を順貫流して、他端から所要の蒸気を取り出せるようになっているものです。特徴を以下にまとめます。
- ・管系だけから構成され、汽水ドラムを要しないため高圧ボイラーに適している
- ・管を自由に配置でき、全体をコンパクトに設計できる
- ・伝熱面積当たりの保有水量が著しく少なく、起動から所要蒸気を発生させるまでの時間が短い
- ・負荷の変動によって圧力変動を生じやすいので、応答の早い給水量及び燃料量の自動制御装置を必要とする
- ・細い管内で給水のほとんど、あるいは全部が蒸発するため、十分な処理を行った給水を使用しなければならない
最後に
今回は水管ボイラーについて紹介しました。繰り返しになりますが、水管ボイラーではボイラー水の水質が非常に重要です。水質が悪いとスケールやスラッジの生成により水管の閉塞や伝熱効率の悪化、水管の過熱により最悪チューブが墳破して運転停止となります。普段から注意して運転管理を行いましょう!
ご安全に!
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