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【腐食】低温腐食(酸露点腐食)とは何?

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ボイラー
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 ボイラーにおける低温腐食(酸露点腐食)は、深刻な設備損傷と稼働停止を引き起こす潜在的な問題です。この記事では、低温腐食のメカニズムと対策について説明します。

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メカニズム

 燃焼ガス中の硫黄分は、燃焼によってSO2(二酸化硫黄)になり、その一部は更に酸化してSO3(三酸化硫黄)になり、更にこれが燃焼排ガス中の水分と反応してH2SO4(硫酸)蒸気になります。この硫酸蒸気が燃焼ガス流路の低温部分に接触し、露点以下となると凝縮し激しい腐食を起こします。これを硫酸露点腐食(使用する燃料によっては腐食要因にHCl(塩化水素酸)も加わり、この場合は塩酸露点腐食となります。廃棄物処理場の排ガスではこういったケースもあるようです)

https://www.nipponsteel.com/product/catalog_download/pdf/A012.pdf


 燃焼排ガス中に生成するSO3の量は燃料中の硫黄分、空気比、火炎温度によって異なり、その露点はSO3濃度、燃焼排ガス中の水蒸気割合によって変化します。燃焼排ガス中のSO3濃度が高いほど、水分含有量が多いほど、また、過剰空気が多いほど露点は高くなる傾向にあります。露点の代表例としては、A重油は100℃前後、C重油は140℃前後です。

 COやH2が高温度下で燃焼される場合には、活性の高い原子状酸素が生成されると言われています。これがSO2と結合しSO3を生成し、その酸化率は火炎温度が高いほど大きく、かつ輝炎より不輝炎の場合に生成量が多いとされています。輝炎と不輝炎については以下の記事でも触れていますので、よかったら読んでみてください。

低温腐食防止策

 ここから先は、防止策について紹介します。

① 燃料の低硫黄化
 最も単純で効果的な対策です。重油や石炭から天然ガスやプロパンガスといったクリーンな気体燃料を使用するのが一つの対策となります。また、より硫黄の少ない重油を使用する、あるいは脱硫工程を経た重油を使用することも対策となります。

② 材料の選択
 炭素鋼は濃度の高い硫酸には耐えますが、希硫酸には激しく腐食されます。ボイラーの伝熱面温度が露点以下であるとき、その面に凝縮する酸は表面温度が高いほど濃い。したがって、露点またはこれよりわずかに低い温度であるときは腐食は少ないのですが、温度が低くなると凝縮量が増加し、酸の濃度が低くなるので腐食速度は急激に増大します。
 ステンレス鋼は一般的に耐食性が大きいですが、希硫酸に対しては炭素鋼同様耐食性は大きくありません。
 耐硫酸性の特殊鋼で有名なのは日本製鉄のS-TENシリーズですかね。カタログのリンクを貼っておきますので興味のある方はぜひ。
 https://www.nipponsteel.com/product/catalog_download/pdf/A012.pdf

③ 表面処理
 ボイラーの低温伝熱面を表面処理または表面被膜して、腐食を防止しようとするもので、種々の金属、プラスチック、ガラス質等を用いたものが多く試みられています。

④ 添加剤
 SO3中和のため添加剤として消石灰、ドロマイト、水酸化マグネシウム等を用いることは対策として有効です。これらは粉末のまま二次空気とともに炉内に吹き込むか、又は燃料油中に浮遊させて利用します。


 また、アンモニアガスを吹き込むとSO3と反応して露点は著しく低下し、腐食減少に効果があります。この場合、燃焼排ガス中のSO3は、固形の(NH4)2SO4(硫酸アンモニウム)として除去されますが、これは高温表面上に溶融して金属を侵すことがあります。

⑤ 設計および運転操作
 空気予熱器の低温腐食を低減するために、金属の表面温度が露点以下にならないよう次のような設計上の努力が払われています。
 ・蒸気式空気予熱器を併用する
 ・予熱された空気の一部を空気予熱器に再循環する
 ・予熱される空気の一部をバイパスさせる
 ・燃焼排ガスと空気を並行流にする
 いずれの方法も、表面温度を露点以上に保つことは熱効率を犠牲にすることになるため、熱経済性と腐食損失の兼ね合いを考えなければなりません。

最後に

 本記事では低温腐食を解説しましらが、高温腐食もボイラー等の高温プロセスでは問題になります。それについては以下の記事で解説していますので、併せて確認していただければ嬉しいです。

ご安全に!

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