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【ボイラー】水質調整におけるヒドラジンについて

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ボイラー
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 ボイラーの運転を安定かつ効率的に保つためには、適切な水質管理が不可欠です。特に、ヒドラジンはボイラー水の水質調整において重要な役割を果たします。本記事では、ヒドラジンの役割と効果について詳しく解説します。

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ヒドラジンとは

 ヒドラジンには、無水ヒドラジン(N2H4)とヒドラジン水和物(N2H4・H2O)が含まれます。ヒドラジン水和物の多くは、プラスチック発泡剤の原料として使われますが、28%のものが脱酸素・pH 調
整などの清缶剤・水処理剤として使用されています。本記事では、清缶剤・水処理剤としてのヒドラジンについて解説します。

ヒドラジンの役割・効果

 ヒドラジン(N2H4)は無機化合物であり、無色で強いアンモニア臭を持ちます。その化学的性質から、脱気器にて酸素の除去に使用されます。ヒドラジンは酸素と反応して窒素と水に変換され、この反応によって酸素を取り除くことができます。
N2H4 + O2 → N2 + 2H2O
 また、200℃以上で分解してアンモニアを生成し、pH 調整剤として作用します
3N2H4 → 4NH3 + N2
 一方、常温付近では上述の脱酸素反応は著しく遅く、分解によるアンモニアの生成も顕著では
ありませんが,ヒドラジン自身の pH 調整剤としての作用もあり、保管防錆や、冷却水防錆にも適用されています。


 下図はヒドラジンによる金属材料の防錆試験の一例です。100 mg/l のヒドラジンに浸漬したものは500 時間経過しても錆が発生していません。

火力プラントにおけるヒドラジンの役割(腐食防止)https://www.mhi.co.jp/technology/review/pdf/462/462055.pdf

ヒドラジンのメリット・デメリット

 ヒドラジンには、以下のメリットがあります。

  • 強力な還元剤であり、高い酸素除去能力を持つ
  • 揮発性があり、ボイラー水から容易に除去できる
  • 比較的低コスト

 一方で、下記のようなデメリットもあります。

  • 毒性があり、取り扱いには注意が必要
  • 発がん性がある可能性
  • 環境負荷が大きい

運用時の毒劇法対応

 ヒドラジンは毒劇法に劇物として規定されている物質です。そのため、法的要求事項に則った運用が必要になります。具体的には以下のような対応が必要になります。

  • 保管容器の在庫量を定期的に確認し書面で管理する
  • 保管場所については、施錠をして勝手に持ち出すことができないよう仕組みを作る

ヒドラジンから発生するアンモニアの影響

 ヒドラジンから発生するアンモニアが設備やプラントの運転に与える影響は、その濃度や条件によって異なります。一般的には、アンモニアの発生量が適切に管理され、適切な処理が行われている場合には、設備やプラントの運転に大きな影響はありません。アンモニアの濃度が高い場合、金属表面、特に銅を使用した設備表面に対して腐食を引き起こす可能性があります。また、特に閉鎖空間や換気が不十分な場所では、作業者の健康や安全に影響を及ぼす可能性があります。

最後に

 ヒドラジンは上述した以外にも、水溶液の被液・薬傷リスクがあります。特性を理解したうえで、安全に注意して取り扱いましょう。

 ご安全に!

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